コンサートには、高円宮妃久子様もおいでになり、終演後、出演者の一人ひとりにていねいにお声をかけられた。
昔、妃殿下をバレエの会場でお見かけしたことが何度かあった。もう20年近くも前だろうか、NHKホールでレニングラード・バレエを見た後、ホール前の公園を散歩していると、同じようにお散歩中の高円宮ご夫妻をお見かけした。当時、結婚されてまだそれほど間のないころだったように思う。SPが、つかず離れずといった感じで警護していたのが印象的だった。
「昔、よくバレエの会場でお見かけしました」と申し上げたところ……
「あら、バレエの会場で??」と聞き返された。その、なんとも気さくでユーモラスな感じに、思わず場が沸いた。
妃殿下はまた、アイルランド出身のドイル神父と親交が深い。ドイル神父からは、私が中学・高校時代、大木神父につく前に聖書を何年か教わった。倉光先生が、
「青山君は、大木神父と私、ドイル神父の3人から習いました」
と言われたので、私も思わず言ってしまった。
「それなのに、こんなことになってしまいました……」
皇族の前で言うにはやや品を欠く冗談だったようで、ちっともうけなかった。