先輩 7


秋光君は随分出世してしまって、こういう機会でもなければ私などが接点を持つようなこともなかろうと思われたが、彼はなんと、新郎とは大学時代からの付き合いだといって私を驚かせた。やはり、この国のエスタブリッシュメントたちは、若い時代から着々と人脈を培い、それを生涯にわたって発展させていくものなのか……。
そこで私もちょっと対抗して、別の人物を秋光君に紹介することにする。
中・高の8期下の後輩であるにも係わらず、早くも上場企業の社長を務めるこの人は、きわめて進化した意識の持ち主として私も注目している。
ところが、会わせてみると、なんとこの二人もすでに仕事上の知り合いであることが判明した。ただ、同郷で、中学・高校の先輩・後輩であることを彼らは知らなかったという。
一人の先輩が胸のすくような判決を出してくれたことから、中学・高校時代のことを思い出した。そうして披露宴に行ったらそこに三人、中・高の先輩・後輩がいた。
こういうのを、俗にシンクロニシティと呼ぶのかもしれない。三人のなかでは形式上、私が一番先輩ではあったが、社会というものをほとんど知らない私にしてみれば、全員が先輩のようなものだ。


カテゴリー: 人生 パーマリンク

コメントを残す