小泉内閣発足時の支持率は、最も低かった朝日新聞社調べで78%、
最も高かった読売新聞社調べでは実に87.1%を記録した。
これは戦後の内閣として歴代最高であり、
あれほどのブームとなった鳩山内閣も抜けなかった。
「構造改革なくして成長なし!」
「私の内閣の方針に反対する勢力、これはすべて抵抗勢力だ!」
そう言い切る小泉の姿勢は分かりやすく、政権運営は小泉劇場と評された。
しかし、その真骨頂は、政治生命をかけた、後の郵政選挙のときに訪れる。
「(郵政民営化の)基本方針は絶対に変えない。ちゃんと理解しておけ。
自民党はとんでもない男を総裁にしたんだ!」
そう言い切る小泉に対し、利権にどっぷり浸かったいわゆる郵政族議員は、
採決に造反して対抗した。
衆議院では、わずか5票差で可決されたが、
その結果を見た小泉が笑ったのを見て、私は唖然としたものである。
自らの使命と任じ、国家の行く末にも関わる、この厳しい戦いを、
小泉はまるで楽しんでいるかのように見えたのだった。
続く参議院では、とうとう造反議員が数を制し、可決はほとんど困難な状況であった。
それ対して小泉は、「(参議院で否決された場合)衆議院を解散する」
と脅しをかけたので、反対派ははますます姿勢をかたくなにし、
本会議での可決は絶望的となった。
衆院解散、総選挙となってはたまらないと思った森喜朗は、官邸に小泉を訪ねた。
「衆議院を解散するなら、オレは森派会長を辞める」
国民的にはまったくの不人気であったとはいえ、いまだ派閥の領袖であった森は、
自分の言うことなら小泉は聞くと思ったのだろうか。だが……
「おれの信念だ。殺されてもいい」
というのが、小泉の返答だった。
「郵政民営化はおれの信念だ。それをなし遂げるためなら殺されてもいい」と言って、
自らの出身派閥の領袖の懇願を一蹴したのである。
【事務局よりのお知らせ】
大変長い間お待たせしました。
たくさんの皆さまからお問い合わせをいただきました、
成就の技術<Art5>のお知らせを、一両日中に掲載いたします。
お申し込み、そしてStage1当日、会場でお目にかかれるのを、
スタッフ一同、心よりお待ちしています。
当時、郵政族議員たちは米蔵に住み着いたネズミに例えられました。そして、郵政民営化は、そのネズミを退治するために米蔵に火を放つ行為に等しいという見方もありました。なぜなら、郵政民営化は、郵貯簡保の国民資産350兆円を外資に差し出す行為に等しいと考えられたからでした。
小泉政権下では、同様に考えて民営化に反対していた憂国の志士たちもまた十把一絡げに族議員、あるいは抵抗勢力というレッテルを貼られ、マスコミの偏向報道と相まって悪役に仕立て上げられました。
一般大衆にわかりやすい図式を示してこれを味方につけるという小泉元首相の手法、手腕は、やはり格別の才能というより他はないに違いありません。
しかし、もっとも恐ろしいのは、“悪役たち”の言い分を決してとりあげようとはしなかったマスコミと、それに先導された善意の大衆であったのかも知れないと思うこの頃です。
本当はダルマ9にコメントしようと思っていたのですが、続きがなさそうなので・・・
・・・小泉政権に最も失望させられた出来事は、米国によるイラク攻撃を支持したことでした。あの、全く正当性を欠いたイラク攻撃に賛意を示すということは、従来の自民党政治、対米追従路線をそのまま踏襲する証に他なりませんでした。
当時のスコット・リッター氏の証言によれば、大量破壊兵器がかの国に存在していないのは早くから明らかでしたが、それでも日本が米国を支持しなければならない立場にあったのは、ひとえに自国の防衛を他国に大きく依存するという我が国独特の事情によるものでした。
つまり、日本は自己保身のため、米国の弱い者いじめを支持してのけたことになるわけです。
これは、伝統的な日本精神の美しさに反します。
しかしながら、この支持表明によって、日本はイランとの間で交わされようとしていたアザデガン油田の契約において米国議会からの反対を免れることができたので、国民生活には資する結果となりました。
そして今、わが国は米国の暴挙を支持するにとどまらず、そこに加担する恐れのある約束を交わすことになりました。中国共産党による侵略政策が現実の脅威として存在する以上、それは、国民の平和な暮らしに寄与する選択であるのは間違いないのかも知れませんが、それによって、我々が本当は何を失うことになるのかを知る人は、とても少ないという気が致します。