転機 1


<プレマ倶楽部>会員の皆さんと個別に過ごした感動と神秘のひと月半があっという間に終わり、気がついてみると7月。その間にサッカーのワールド・カップが始まった。
野球と違って、もともとサッカーには興味がなかった。
なにしろ、人間の外部器官のなかで、「手」は他の動物との差別化が最も顕著な器官だ。手が高度に発達したがゆえに、人間は驚異的な進化を遂げ、文化を残した。
したがって、すべてのスポーツで、われわれは手を有効に使う。ただ一つの例外、サッカーを除いては。不自然なこと、極まりない。
そのサッカーを初めて面白いと思ったのは、98年フランス大会のアジア予選だった。
紆余曲折の末、日本が最後に代表権を得た試合が中継された晩、私は『大いなる生命学』の最終校正をしていた。出版社でテレビをチラチラ見ながら、結局、ほとんど一睡もしなかったのを覚えている。
当時、サッカーでこれほど国中が沸くものだということを、私は知らなかった。


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