秋田の聖母マリア。日本での聖母出現のなかでは、唯一、教会当局により公認されているご出現である。『大いなる生命と心のたび』で国内旅行を行なうのなら、秋田が最初と私は決めていた。
初日のフライトは、朝の8時。7時15分という早い集合だったが、全員が無事間に合った。機体は一路、秋田へ。
まず、ホテルに向い、一緒に記録ビデオ『秋田の聖母のメッセージ』を見る。シスター笹川、伊藤司教、安田神父、聖母の涙を直接見た人びとの証言などにより、皆さんは素早く概要を把握、昼食後、聖体奉仕会へ向う。
秋田の地は、いまだ雪が残っていた。信者の皆さんの献金により建立された新聖堂は広く、一応暖房はあるものの、寒い。シスターたちは、このなかで普通に淡々と日常の祈りや労働を続けておられる。
この日は金曜日だったので、午後3時から「十字架の道行」の祈り。その後、何人かの方はマリア庭園の散策へ。あるいは聖マリアの家の売店へ。数少ない修道院の収入源ということもあり、涙を流される聖母のお写真など、買い物にも気合いが入る。
5時からロザリオの祈りに参加した。歌うような、流れるようなロザリオ。このロザリオを、私は皆さんに体験してほしかった。99年に巡礼したときに記憶したとおりの美しいロザリオに、皆さん、ほとんど“瞑想状態”に陥っておられる。
祈りの後、聖堂をお借りして、一つの発表をした。今回、参加しておられるKさんが、一週間後の復活祭に洗礼を受けられる。そのお祝いのために、【マリアの会】メンバーが歌を用意したのだ。
一曲目はカッチーニのアヴェ・マリア。高音部の高い、難曲だ。【マリアの会】の皆さんは、これを思いついてから、それぞれの時間を縫うようにして練習してこられた。
それはもともと、16日のパーティの時に披露する予定であったが、Kさんご本人が欠席のため、旅行中にやろうということに。そこで二つのホテルと交渉したが不可能と分かり、聖体奉仕会のほうに無理を言ってお願いしたのだった。
一連の過程を体験した私には、秋田のマリア様が『わたしの前で歌いなさい』といわれたようにしか思えない。こうして、アヴェ・マリアに続く『あしあと』の詩(『祈りの言葉』 64頁)の朗読のとき、マリア像ではなく自分の目から涙が出てきた。
『わたしがもっとも辛く、淋しかったとき
いちばんあなたを必要としていたとき
あなたはどうして私を一人ぼっちにされたのですか……』
この次の曲は、私の独唱で始まる。無理だ。もうやめて、ごめんなさいと言って東京に帰るか……。そう思ったが、そこをなんとか踏ん張る。
『おまえが試練に遭い、苦しんでいたとき
一人分の足あとしかなかったというそんなとき
わたしが、おまえを背負っていた……』
もう一曲は『ロミオとジュリエット』。有名な映画音楽に歌詞がついたものだが、その内容が、これからイエス様との新しい生活に入るKさんにぴったりなところから選んだ。
『あなたとわたしの、新しい二人の時が来る
……あなたのためなら いのち燃え尽きるその日まで……』
歌詞のとおり、三日間の巡礼旅行は、一日目にして燃え尽きる思いとなる。
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そり遊びの人々