勝負 1


心待ちにしていた3月15日。確定申告が終わる日……ではない。前回、K1の王者ピーター・アーツを撃破した大山峻護君が、ふたたびHERO’Sのリングに立つ日だ。
応援団として気合い負けしてはならじと、私はこの3週間ヒゲをたくわえた上に黒ジャンパーを着込み、できるだけいかめしい表情で日本武道館のゲートをくぐった。
傍らには、普段【マリアの会】でお世話になり、この日確定申告を終えたばかりの税理士・Mさんの、格闘技ファンとは思えない優しげな姿があった。
案の定、会場では、どこかの空手道場に通っているような、またはどこかでボクシングジムに通っているような、あるいはどこかでケンカに明け暮れているかのような、若者たちの姿が見える。
それを見ながら、Mさんが言った。
「ここって……、思い切り美女係数が高いですよね」
たしかに言われてみれば、空手家やボクサーらしき姿もあるが、それよりも艶やかな化粧をし、着飾った女性たちのほうが目立つのだ。
美しい女は、強い男を求めるのか……。いい悪いは別にして、そうした生物学的本能が、今日の格闘技界の隆盛を支える原動力となっていることは間違いない。
さすがに長年の格闘技ファン、目のつけどころが違う。


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