癒し 13


その後、シスター笹川は天使の予告通りふたたび聴力を失い、その期間は6年にも及ぶ。
が、1982年3月、ふたたび天使が現れ、癒しを予告した。その2ヵ月後、シスター笹川はついに聴覚を取り戻した。
そのときの医師の所見は『完治している』という単純なものだった。が、実際には感銘を受けた医師・看護婦らが総立ちとなって、彼女を祝福したといわれている。
近代、無数に報告された聖母出現のなかには、嘘もあれば、精神的な病もあったに違いない。それこそ、“悪霊のたぶらかし”もあったのかもしれない。
だが、真の奇跡にはそれ自体、有無を言わさぬ迫力がある。見神者は謙遜で、従順である。たとえば、掌の傷から血が流れ始めたとき、「自分を特別と思わず、謙遜であるように」という司教の勧めに、シスター笹川はこう答えている。
「自分を特別だなんて、とても考えられたものではありません。何の取り柄もなく、おまけに一人前の仕事もできない身障者です。やはりいちばん罪深い者だからこそ、このような償いのわざが私に与えられたので、むしろ当然と思っております……」


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