天使の出現に続いて、彼女の身体に変化が現れる。すなわち、左手に錐で刺したような十字架様の傷がつき、そこからおびただしい量の血が流れた。痛みは激しく、ほとんど耐えがたいものだった。
1973年7月6日、早朝3時、痛みをこらえながら祈っているとふたたび天使が現れ、彼女に告げた。
『恐れてはなりません。今の世は、忘恩と侮辱で、主の聖心(みこころ)を傷つけています。あなたの傷より、マリア様の御手の傷は深く、痛んでいます……』
天使に促され聖堂へ赴くと、祭壇に安置されている木彫りの聖母像が生気を帯び、何かを話しかけているように感じられる。そうして次の瞬間、像は眩いばかりに輝き、聞こえないはずの耳に声が響いた。
『わたしの娘よ、すべてを捨てて、よく従ってくれました。耳の不自由は苦しいですか。きっと治りますよ。忍耐してください……』
以後、秋田における現象は、より多くの客観性を備えていった。すなわち、木彫りのマリア像は自らの手からも血を流し、目からは涙を流し始めた。
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秋田の聖母マリア