千年、二千年という時を経て世界の趨勢となった男女同権という立場から、カトリック教会においても女性司祭を認めるべきだとする意見が、特に欧米を中心にあるらしい。
荘厳なミサを司式し、ただのパンをキリストの体に変化させ、信者の罪を聞いてこれに赦しを与え……といった権能を持ちたいと女性が思ったとしても、決しておかしくはない。あるいはまた、司祭の数が現実に足りず、シスターしかいないとなれば、真摯で敬虔な彼女らを司祭に登用して何が悪いのかという議論にもなる。
だが、ヨハネ・パウロ2世は在任中、こうした意見に一切、耳を貸さなかった。
仮に今から何世紀かが経つうちに、カトリック世界でこのような意見が勢力を増し、同時に革新的な法王が現れて女性司祭の登用を認めたとしよう。その場合、女性司教(一つの教区を率い、教区内の司祭を束ねる)も認めないわけにはいかないだろう。女性司教がいれば、女性の大司教、枢機卿も誕生することとなる。
そうして千年も経った頃、司祭や司教になろうという敬虔な人びとのなかに女性が圧倒的に多ければ、ちょうど枢機卿会の多数を非イタリア人が占めるなど百年前には想像できなかったように、枢機卿会の過半数を女性が占める時代が来るかもしれない。
そうなったときには当然、歴史上初めて、女性法王が誕生することになるだろう。
青山圭秀
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