座長 3


翌27日は、西洋科学と東洋哲学の現状と未来について、一時間程度の講演をした。
会場には、医学、物理学、化学、哲学等々、さまざまな分野の専門家がおり、それぞれに一癖も二癖もありそうである(失礼……)。
うかつなことを発言すれば揚げ足をとられかねないので、普段にも増して慎重に講演を行なったが、最後には予期せぬ感謝状を学会からいただき、恐縮することとなってしまった。
懇親会で、やっと解放感に浸りながら果物に手を出していると、自ら物理学者であり、学会事務局を兼ねるY君が話しかけてきた。
「災難でしたね……」
大混乱に陥ったシンポジウムのことである。
「それにしても、こうして座長をやっていただいたり、講演していただいたりするのも、あのとき、ボクと出会ったのがきっかけでしたよね」


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