麻薬 3


 喫煙の習慣は、日本には欧米諸国から輸入されたと思われる。今日でもなお、海外ブランドのタバコCMが、テレビで放映されている。
ところが、国民の喫煙率をみてみると、たとえば日本人の男性が6割近いのに対し、アメリカ人男性は3割を切っている。戦後、アメリカのタバコ会社は洪水のようにタバコを輸出し、日本国民の苦しみと引き換えに膨大な利益を挙げてきたが、自国における喫煙者ははるかに少数派である。私は、何でもかんでも“陰謀”と表現するのは好きではないが、実際、彼らの戦略はしたたかだ。
 いずれ、これからさらに何十年もかかって、わが国の多くの人がことの馬鹿馬鹿 しさに気づいたときには、今度はさらに発展途上国において同じことが行なわれるかもしれない。
子供たちにタバコをタダで与え、タバコなしには生きられないようにしておいて未来永劫、利益を挙げようということが、現に今、アフリカなどで行なわれている。そんな話を聞くと心が痛むが、なんのことはない、日本人も過去半世紀間、ほとんど無批判にタバコ会社の戦略に身を委ねて疑わず、その結果、ならなくてもよい人や、その周囲の人までガンやその他の病気にかかり、悲惨な死に方をしていった。


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