聖女 6


 「インドの聖者・サイババを知ってます?」
 悪戯好きのフリオが、シスターにそんなことを聞いている。こうして修道院に籠もり、生涯を祈りに捧げるカトリックのシスターが、サイババを知っていようはずがないではないか! 笑顔を崩さないままのシスターに、フリオは追い打ちをかけた。
「じゃ、サイババの映ったDVDを、今度贈りましょうか」
 手紙を書き終えたぼくは、ふたたび、シスターと向き合った。おそらくは70代であろう彼女の肌が、透き通るように白く、美しい。カルメル会の修道服も、高校の頃に見た聖女テレジアの写真どおりだ。そのシスターに、ぼくは手紙を手渡した。
「たしかに、ルチアに渡します」
 前々日、井手氏に出会って、一生分の運を使い果たしたかと思った。それが時を経ずして、このような幸運に見舞われるとは……。
 それはもしかしたら、日本で祈ってくださっている皆さんの心の力かもしれない。そう思うと、ぼくは始めて少しだけ納得したような気になったのだった。
040803-6

聖地ファティマ近くの鍾乳洞
(水がエメラルド色をしていた)
事務局より:
 このときのポルトガルの旅行談、特にファティマの聖母預言とルチアの話は、9月11日の<プレマ・セミナー>で行ないます。テーマは、『世界の未来と聖母預言』です。座席数が限られておりますので、希望される方はお早めにお申し込みください。
お申込はこちらからどうぞ e-mail: info@lightfield.co.jp


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