誓い 2


 その菓子をTが実際に口にすることは、果してあったのだろうか。このようにして、立派な修道女になって人びとを救ってほしいという気持ちと、苦しければ日本に帰ってくればいいという気持ちが交錯して、4年が過ぎた。
 その彼女は、しかしいまだ、正式な修道女ではない。キリストに従う「清貧、貞潔、従順」の3つの誓いをたてて初めて、真に修道院に受け入れられる。そうして、マザー・テレサの会に特別なのは、この世のもっとも貧しく、弱い人びとのために、生涯のすべてを捧げるという誓いである。なぜなら、『わたしの兄弟である、このもっとも小さい者の一人にしたのは、私にしてくれたことだ』と、イエスは言ったからだ。(マタイ 25・40)
 午前5時をまわった。じきに車が来て空港に向かい、今日の夜にはローマに着く。そうして明日、彼女は神の前に誓いを立て、キリストの花嫁となる。


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