知人のテレビプロデューサーが、先日、突然言った。
「こんど、空手見ません?」
全日本空手道選手権。主催は、佐藤勝昭・王道空手宗師である。佐藤勝昭といえば、格闘技に通じた人なら誰でも知っている。私は二つ返事で、行くと答えた。
私が佐藤氏に最初に“お目にかかった”のは、実は劇画の中である。昭和40年代、『巨人の星』や『あしたのジョー』に続く時代の人気劇画であった『空手バカ一代』を、私もときどき寮で見つけては読んだ。そのなかで、一代の天才・大山倍達が悲願の末に全世界空手道選手権大会を開催するのであるが、その第一回大会で優勝したのが佐藤氏であった。
もともと講道館柔道の未来を背負って立つといわれた彼が、なぜ極真空手に身を投じ、どのような苦闘の末に初代世界王者となったかが、同劇画のなかで描かれている。(講談社ベストコレクション『空手バカ一代』第7巻473ページから巻末までのうち多くの紙数を、著者はこれに割いている)
講談社ベストコレクション『空手バカ一代』第8巻744項