山形への旅 3


 7月3日、車一台がやっと通れるような細道を歩いていた彼の脇を、すうっと車が通りすぎ、そのナンバーが3711だった。まったく予期していなかったので、鳥肌が立った。やはりこの女性が、自分の伴侶になる人なんだ……。自然に涙が浮かんできて、この日、彼は一日、平静を取り戻せなかった。僕がルルドで手紙を出した、翌々日のことである。
 翌日、もうマリア様からサインが出たと思っていた彼は、ナンバーにはまったく注意していなかった。が、ふたたび、彼はドキリとした。たまたま昼食に寄ったお店の駐車場に、「3711」が止まっている……。
 さらに翌日、彼は仕事で、本当は行かないはずのエリアにいた。その地域は他の人が回る予定だったのだが、都合で急遽、彼が回ることになったのである。そうして三たび、同じナンバーの車を見ることになる。それはなんと、前々日に見た、まさにその同じ車であった。
 このとき、彼の心のなかで、この三日間の出来事の意味が完結した。「そういうことなんだよ」と、言われたような気がしたのである。こうして彼らは、晴れて結ばれることになった。
 手紙の主は、山形市内に一つだけあるカトリック教会を、式の会場に選んだと書いてある。僕は一晩考えた後に、返事を書いた。
「式に参列させていただきたいのですが……」


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