9月2日-2
今回、タイ旅行が企画された最大の眼目は、
『タイの寺院で、現地の儀式に与り、瞑想をすること』
という聖者アガスティアの指示を実行することにある。
そのために、大所の寺院をくまなくあたってもらい、
なんとワット・アルン(暁の寺)と、
ワット・ポー(寝釈迦仏寺)で儀式に与れることとなった。
ワット・アルン(Temple of Dawn)は、
三島由紀夫の小説『暁の寺』の舞台ともなった名刹。
チャオプラヤ川の川沿いにたたずむその姿は10バーツ硬貨にも描かれ、
バンコクを代表する風景の一つだ。
ワット・ポーは、直訳すると「菩提の寺」。
タイ王室がお使いになる寺院だが、
黄金に輝く巨大な涅槃仏が有名で、涅槃寺とも呼ばれる。
全長は46メートル、高さは15メートル、
全身が金箔で覆われ、眼と足の裏には真珠貝が使われている。
サイババの足の裏には神の化身に特有の不思議な神紋があったというが、
この涅槃仏の足の裏にも、
インド、中国、タイの混合様式による神秘な仏紋が描かれている。
われわれは、これらの寺院を巡礼した後、儀式に与り、瞑想する。
さらに、バンコクに来たら必ず見なければならないのが、王宮だ。
王宮のなかに、ワット・プラケーオ(Temple of the Emerald Buddha)、
通称エメラルド寺院がある。
このエメラルド仏は、紀元前43年、北インドで造られたといわれる。
三百年後、内戦を避けて像はセイロンへ渡ったが、船が難破、仏像も海中に沈む。
ところが、その仏像が……
アンコールの海岸に打ち上げられたのだった。
その後、仏像は盗難を避けるため石膏を被せられ、仏塔の中へ。
千年のときが経ち、歴史のなかから完全に消し去られてしまっていた1434年、
仏塔に雷が落ち、中からエメラルド色に輝く仏像が現われた。
この数奇な像を、われわれはじかに見て拝礼する。