今をさかのぼること前世紀、
1999年の第一回『大いなる生命と心のたび』の目的地は、
いろいろな訳があって中国だった。
かの地で、近代中国の発展に驚くと同時に、
中国医学・中国文化に接したわれわれは、 翌年はバリ島に。
そこでバリ土着の医学と文化に触れることとなった。
その後、小説『最後の奇跡』の上梓を経て、
もっぱら訪ねることとなったのは、聖地ルルドである。
ルルドを計6回訪ねる間に、
旅の仲間の何人かが奇跡的治癒を実際に経験されたことは、
私自身、まことに驚くとともに、望外の歓びだった。
また、ルルドと並ぶ聖母出現の聖地ファティマ、ローマ、アッシジ、
さらにはメジュゴリエ、サン・ジョバンニ・ロトンド、
アヴィラ、ガラバンダル、サンチャゴ・デ・コンポステーラ等、
今日知られているキリスト教の大聖地の多くを巡礼することができた。
メジュゴリエ:ご出現の丘に映える夕陽
『大いなる生命と心のたび』で初めてインドを訪れたのは、2008年である。
沈黙の聖者ラマナ・マハリシの聖地を訪ね、
チダンバラムのナタラージャ(踊るシヴァ神)寺院では
ホーマ(火の儀式)にあずかり、
何人かの方の協力を得て建立したばかりのムルガ寺院の落慶式を行なった。
落慶したムルガ寺院 –花で飾られた9つの惑星の神々–
翌年にはサイババのアシュラムを訪問したが、
このときは、『大きな困難に遭遇するであろう』ことが予め予言されていた。
それが具体的には何のことなのか分からないまま、
われわれは旅行に突入、その日……
シンガポール航空機は飛ばなかったのである。
私自身、過去、おそらく4、50回ほども
シンガポール航空を使ってインドに行ったが、
遅れるということすらなかったそれが飛ばないなどというのは、
もちろん初めての経験であった。
翌日も飛ばず、
シンガポールからの乗り継ぎ便ももうこれ以上は待てないというところまできた。
その場合、サイババ・アシュラムまではたどり着けなくなってしまう。
追い詰められた局面で、突然、『飛行機が飛びます』というコールがあった。
空港内で散り散りになっていた参加者の皆さんを急遽招集し、
ぎりぎりで破局は避けられた。
飛行機から臨む夕陽
こうしてたどり着いたプッタパルティでは、
サイババが普段よりも異様に長いダルシャンをお与えいただき、
『それでも結局、旅は完遂される』という予言もまた、成就したのだった。
教会で祈りを捧げる女性たち