第29回『大いなる生命と心のたび』
日本の心を生きたキリシタンを訪ねて ー生月・平戸・五島を巡る4日間ー
2016年11月18日〜21日
『日本は、ローマに次ぐ多くの殉教者を出した国です』その昔、大木神父がよく口にされた言葉だ。かつてフランシスコ・ザビエルは『これほど賢く、敬虔な民を他に知らない』と本国に手紙を書き送った。実際、禁教令が出るまでわが国におけるキリスト教徒は急激に増え、わずか半世紀ほどの布教で1%に到達しようとしていたという説もある。
現代においても、この“賢く敬虔な”日本の地には世界中から多くの修道会が訪れ、学校教育や社会活動が行なわれている。マザーテレサのような人が出ればわれわれはこれを深く敬愛し、インドの介護院にはボランティアツアーが組まれて、なかには何カ月、何年と滞在する人すらいる。しかしその一方では、現在、日本におけるキリスト教徒は、どんなに熱心に布教がされても1%を超えないという事実もある。
今回の巡礼では、わが国におけるキリスト教の原点ともいえる長崎・五島列島を訪ね、美しい自然と教会群のなかで、どのように人びとの信仰が息づいてきたかに触れてみたい。また、現在も隠れキリシタンの信仰を保っておられる方に、現地ガイドとしてご参加いただく。
青山圭秀
旅程
11月18日(金) 生月島 |
隠れキリシタンの聖地【中江ノ島】を臨みながら生月島へ。
禁教時代、洗礼を授けるお水役が、無人の中江ノ島へ渡り、聖母の祈りを1063回、その他の祈りを763回唱え、サンジュワン様の水と呼ばれる岩清水を徳利に充たしました。
鯨漁で経済的に恵まれていた生月島は、現在人口約8500人。そのうちの約1000人の方たちが、隠れキリシタンの信仰を守り続けています。
当時の信仰生活を再現する【島の館】にて、隠れキリシタンの方から、その歴史・信仰・文化を学んだ後、ペリュー神父様の導きによって隠れキリシタンからカトリック教会に戻った人々が現れた【山田教会】と、生月で最初の殉教者となったガスパル様(188福者のお一人)を葬る【黒瀬の辻殉教地】を巡礼します。
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11月19日(土) 平戸/上五島 |
★ご希望される方は、田平教会の朝ミサ(6時)へおでかけください(タクシー15分/自己負担となります)。
午前は、平戸を代表する【平戸ザビエル記念教会】、世界遺産候補【田平教会】を巡礼します。
ザビエル教会の尖鋭な屋根と十字架、浄土真宗の光明寺、曹洞宗の瑞雲寺が重なり合う、長崎ならではの風景をご堪能ください。
午後は、高速船にて波光きらめく碧い海を渡り、中通島へ。
1軒を除いて皆キリシタンであったという頭ヶ島集落に佇む【頭ヶ島教会】、上五島の信仰の中心を担う【青砂ヶ浦教会】を巡礼します。信徒が総出で煉瓦を運びあげた青砂ヶ浦教会は、正面を真西に向け、春分・秋分には、窓から差し込む夕日が祭壇の中央を照らすように造られています。また、頭ヶ島教会は、切り出した石を信者らが船で運び組み立てた、全国的にも極めて珍しい石造りの教会です。内部は随所に椿をモチーフにした花柄文様があしらわれ、「花の御堂」の愛称で親しまれています。 ※椿は長崎県の教会堂に多く用いられているイコノグラフィー(意匠)で、深紅の花がポロリと落ちるイメージが殉教と重なります。
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11月20日(日) 上五島/下五島 |
★ご希望される方は、曽根教会の朝ミサ(6時)へおでかけください(徒歩2分)。
午前は、中通島の代表的な教会を巡り(【冷水教会】【大曾教会】【鯛ノ浦教会】)、静謐の中で過去と現在を省みます。
鯛の浦教会の鐘楼外壁には被爆した浦上天主堂の煉瓦が一部使われています。
信徒の願いが込められた、五島の教会群の建築には様々な特色があり、その設計・施工を担った名匠・鉄川与助の研ぎ澄まされた美感覚に触れることも、楽しみのひとつです。
午後は、チャーター船にて、島全体が国から重要文化的景観に指定されている久賀島へ渡ります。
島の仏教徒の大工が建てた古い民家のような【旧五輪教会】、島への途中洋上から見える白亜の【浜脇教会】、そして【牢屋の窄殉教記念聖堂】を巡礼します。
「五島崩れ」のきっかけとなった牢屋の窄殉教地では毎年秋、殉教者を称え、先祖の信仰に倣うため、五島内外の信徒や巡礼者が集まって「牢屋の窄殉教祭」が行われています。
※「崩れ」とは潜伏時代に信仰を語り継いできた組織が大規模に摘発されることを言います。
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11月21日(月) 下五島/長崎市内 |
★ご希望される方は、福江教会の朝ミサ(6時)へおでかけください(徒歩10分)。
午前は、禁教下プチジャン司教から“十字架のしるし”の指導を受けた【水之浦教会】、二十六聖人のお一人聖ヨハネ五島様の聖骨が安置されている【堂崎教会】を巡礼します。
宣教再開と同時に、堂崎教会の宣教師とキリシタンの乙女たちによって始められた貧困救済事業は、時を経て場所と形を変えながら、児童養護施設や修道院となり現在に至っています。
午後は、「信徒発見」の歴史的瞬間に立ち会ったことで有名なプチジャン司教の遺体が埋葬される、【大浦天主堂】を巡礼後、可能なかぎり自由時間を設けます。
隠れキリシタンが秘蔵したマリア観音、納戸神、オラショ(祈りの言葉)、踏絵、禁制の高札などを陳列する旧神学校資料館を見学したり、または長崎湾を一望する祈念坂を登るのも趣があります。
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五島列島
九州の最西端、長崎港の沖合およそ100kmに連なる五島列島。
18の有人島と100以上の無人島で形成され、福江島から奈留島までを下五島、若松島と中通島以北を上五島と呼びます。
ほぼ全域にわたり西海国立公園に指定されており、海食崖や小島を有する溺れ谷など、多様な海岸景観を特徴とします。
古くから大陸との交易地としてにぎわった五島列島は、遣唐使、倭寇、キリシタン等幾多の歴史、文化遺産が残っています。
長崎におけるキリスト教の伝来と繁栄、激しい弾圧と250年もの潜伏、そして奇跡の復活という、世界でも類をみない布教の歴史のなか、島内には、文字通り命をかけて信仰を守り続けた信徒たちの手で造られた、51の教会堂が点在しています。
1泊目 ◆ホテル蘭風
- 全室オーシャンビュー
- 自家源泉100%の天然温泉
- 平戸の荒磯で取れた海の幸を中心とした
- 「郷土和会席 」お楽しみください
2泊目 ◆ホテルマルゲリータ
- 海を望む高台のリゾートホテル
- 五島の魚介と野菜でつくる、やさしい「島イタリアン」
- 自家源泉かけ流しの露天温泉の後にはメディテーションデッキにておくつろぎいただけます
3泊目 ◆カンパーナホテル
- 地の新鮮な食材をふんだんに使った、「郷土和会席」
- 五島灘、鬼岳、文化遺産・石田城址を一望する展望風呂
- 屋上のカンパーナ(鐘楼)が時を告げてくれます
※「マルゲリータとカンパーナが五島最高のホテルといわれており、
二日連続で、しかもマルゲリータは貸し切りでとれたことは、私にとってもあり得ない経験でした」(ISA・徳矢氏)